パンテオン17 被り物大集合

まずは2枚の写真をごらんください。
1枚目は男性用、2枚目は女性用の宗教的な被り物です。
計6個のうち、1つだけ仲間はずれがあるのが
わかりますか?宗教が違いますね。
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
1枚目からゆっくり紹介していきましょう。
まず私が手にしているこの黒い帽子。
このように縁や上部に刺繍が施されているのもあれば、
その下のように真っ黒いのもあります。
これはインドネシアで購入しました。

・・・と聞いて、誰かを思い出しませんか?
そうです。インドネシアの初代大統領スカルノさんが
いつもかぶっていたあの帽子。
これはムスリムの男性がかぶるもので、
インドネシアでは「ペチ」と呼びます。
スカルノ大統領↓。若い人にはデヴィ夫人のだんなさん、
と言った方がわかりやすいかな。
 
イメージ 3

右下の赤いフェルトのはいわゆるトルコ帽です。
オスマン帝国時代のトルコの男性がかぶっていたもの。
トルコでは「フェズ」と呼びます。
トルコ革命のさい、政教分離をめざすアタチュルク(建国の父)
によって着用が禁止されました。
 
さて手前のまん丸で小さいのは何でしょう。
実はこれが仲間はずれ。これだけが、ユダヤ教のもの。
ユダヤ教徒がかぶる「キッパー」です。「ヤムルカ」ともいい、
シナゴーグユダヤ教会)に入るとき、男性は必ずかぶります。
色んな素材、デザインがありますが、これは本革製。
無地の濃い紺色でシックです。
イスラムにもこれに似たものがあり、
白いレースでできています。
 
ちなみにキリスト教ローマ教皇枢機卿がかぶっているのは
キッパーではありません。見た目はほぼ同じですが
由来も呼び名も全然違うものです。
そういえば本日、ローマ教皇ベネディクトゥス16世が退位しますね。
ローマには枢機卿が続々と集結しています。
コンクラーベの日程はこれから決めるそうです。
 
では2枚目の女性編へ。いずれもムスリムの女性が髪を隠すために
使うものです。
左の黄緑のはツバつきの頭巾です。頭からかぶると
顔の輪郭にぴっちりはりつくような感じになります。
右はスカーフ。大きな三角形で黒と紫のリバーシブル。
顔に沿うラインがキラキラでおしゃれです。
これらの被り物は、国によって呼び方が変わります。
 
実際にかぶってみたい方はうちにお越しください(笑)。
一人でムスリム・コスプレして遊んでいるわけではなく、
日本のモスクやイスラム国に行くときの実用品ですよ。