パンテオン18 女神アルテミス像

かつて古代地中海世界には「驚嘆すべき建造物」いわゆる
世界の七不思議」というものがありました。
 
エジプトの大ピラミッド。バビロンの空中庭園
オリンピアのゼウス像。ロードス島の巨人。
ハルカリナッソスのマウソロス廟。
アレクサンドリアのファロスの灯台
そして、エフェソスのアルテミス神殿。
現在のトルコ、エーゲ海に面したエフェソスの街には
いまも残骸が残っています。

その神殿はあのパルテノン神殿をふたまわりくらい大きくした
巨大な神殿で、内には女神アルテミスの像が祀られていました。
 
アルテミスはギリシア神話に出てくる月の女神。
有名な太陽神アポロンの双子の妹です。
ローマ時代にはディアナ(英語でダイアナ)と呼ばれました。
男嫌いの処女神で、いつもニンフを連れて野山を駆け回っています。
その水浴の場面をのぞき見たアクタイオンという青年は
女神の怒りをかい、牡鹿に変えられてしまいました。
 
普通は、箙を背負って弓矢を手にした女狩人の姿で描かれます。
昨日、ムセイオン・シリーズで羊皮紙を紹介しましたが、
あの写真にこのような姿のアルテミスが映っています。
しかし今日紹介するアルテミス神はとても変わった姿をしていて、
これこそがエフェソスの神殿に祀られていたアルテミスです。
 
イメージ 1
 
冠。無数の乳房(卵?)。下半身には飛び出すライオンや牛、蜂、果実・・・。
グロテスクにも思える姿。独特です。
これは元々アナトリア(トルコ中部)で崇拝されていた
キュベレーという豊穣の女神が、ギリシアのアルテミスと
合体した形と考えられます。
 
エフェソスにある考古学博物館には、
この姿のアルテミスの像が2体、展示されています。
私はツアーでトルコに行ったため、この博物館へは
残念ながら行けませんでした。今でも悔しい・・・。
エフェソスへ行くならこの博物館も、広大なローマ遺跡に次ぐ
必見ポイントだと思います。
どなたか行かれたら、私のかわりにアルテミス神を見てきてください!