フェルメール展・第2弾

7月13日
「ベルリン国立美術館展」(上野・国立西洋美術館にて)
に行きました
 
今回はこの展覧会を企画した学芸員の高梨光正氏から
直接お話を聞く機会がありましたので、
その内容も交えてお伝えします。
 
「“フェルメールの、どこがそんなにいいの?”
と言っては、色んなところでヒンシュクをかっている」
という高梨さん。
それを聞いて私も苦笑い。実はちょっと同感だったりして。
 
おそらく東京都美術館(「真珠の耳飾り~」を展示中)も
そうでしょうが、
西洋美術館の展覧会もやはり、フェルメールありき、
で始まったそうです。
TBSから「真珠の首飾りの少女」をぜひ借りたい、
という企画が持ち込まれ、その1枚を展示するために
その他の作品を選んだのが、高梨さんです。
 
この作品のユニークな点は、
画面のド真ん中が空白であること。
鑑賞者の視線が真っ先に向かうところに
何も描かれていないのです。
 
しかし実は、ここには元々、地図が描かれていました。
それをフェルメールは、あとで塗りこめ、
真っ白な広い壁にすることで、少女の横顔
際立たせたのです。
このことは14日にTBSで放映された特番でも
触れられていました。
 
ほかの見どころは、ドイツ彫刻のマエストロ
リーメンシュナイダーとその工房の作品でしょう。
計3点展示されています。
私はドイツのローテンブルクにある聖ヤコプ教会で、
「聖血の祭壇」という作品を見て以来、彼のファンです。
 
これほど優れた木彫は、ドイツにはあっても、
イタリアにはありません。それはなぜでしょう。
高梨さんいわく、イタリアには、繊細な木彫を作れるだけの
刃物がないから、だそうです。
そういえばドイツのゾーリンゲンヘンケルス社など)は
切れ味のよいハガネで、いまも定評があります
ゾーリンゲンは地名であり、社名やブランド名ではありません。
 
さらに今回、ボッティチェリがダンテの「神曲
の挿絵を描いた羊皮紙も出品されています。
裏面にすでに本文が書かれている(透けて見えます)だけに、
絶対に間違えられないプレッシャーがあったに違いないのに、
それを感じさせない流麗かつ軽快な筆運びが印象的でした。
 
この作品には同画異時法が使われています。
画面右から左へと、5人ものダンテが描かれているので、
ぜひ探してみてください
 
東京展でしか展示されないミケランジェロの素描や、
クラナッハの「ルクレツィア」と「ルターの肖像」、
そしてレンブラントも必見です。
個人的な感想ですが、フェルメール以外の部分で、
見るべきものが多いという点で、今回の
「都美vs西美」のフェルメール展対決は
西美に軍配が上がりました
 
館内のショップで、ドイツビールをゲット。
かの鉄血宰相ビスマルクに愛された
「ラーデベルガー」です。
ドイツで飲んでおいしかった記憶があるので。
 
そうそう。以前紹介した、「アンペルマン」グッズですが、
美術館内ではほとんど見当たらず、
上野駅構内のショップにたくさんありました。
 
この展覧会は9月17日まで。その後、福岡に巡回します。
http://www.berlin2012.jp/
 
今日も猛暑 熱中症に注意