パンテオン9 ファティマの手

中東でよく見かける手の形をしたお守りを
ファティマの手、あるいはハムサと呼びます。
 
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右上の小さいものはスペインのグラナダで買いました。
かつてイスラム勢力下にあったグラナダコルドバの町では、
いまもイスラムグッズをたくさん売っています。
 
 
「ファティマ」とはイスラム教の開祖ムハンマドマホメッド)の娘の名。彼女の夫アリーは第四代正統カリフです。
正統カリフムハンマドの後継者で
         初期イスラム教団の指導者)
 
このアリーとファティマの子孫のみがイスラム教の指導者になれる、と考えるのがイスラムシーア派(少数派)で、
多数派のスンナ派スンニー派)と現在も対立しています。
 
 
ファティマは働き者で献身的な理想の女性として、
イスラム世界で広く尊敬を集めています。
彼女の手をかたどったこのお守りは、あらゆるご利益がありますが、手の中央に眼があることが多いため、もともとは邪視・邪眼よけだったと思われます。
 
そういう意味では、やはり中東特にトルコでよくみかける
ナザール・ボンジュ(青い目)とも関連があるようです。
(写真の
下部を参照)
 
写真左の大きいものはユダヤ教のもの。
ヘブライ語で「お守り」「イェルサレム」と書いてあります。
 
イスラム教とユダヤ教は「パレスチナ問題」などがあって、
いまでこそ犬猿の仲ですが、20世紀以前はそれほど
仲は悪くありませんでした。
むしろ根っこが同じ宗教なので、共通点の方が多いのです。
 
スペインでイスラムグッズを売っている店は。同様にユダヤグッズもよく売っています。イスラム時代のスペインではユダヤ教徒保護されていたからです。
コルドバセビリアなど多くの町にかつてユダヤ人街があり、
いまもその名残があります。
 
イスラム世界で「ファティマの手」と呼ぶお守りを
ユダヤ世界では「ミリアムの手」と呼びます。
ミリアムはモーセの妹の名前です。
 
このお守りの別名「ハムサ」は、
アラビア語ヘブライ語で数字の「5」を意味します。
これは指の数を示すと同時に、
イスラムでは教えの核となる5つの柱の象徴であり、
ユダヤではその聖典である「モーセ五書」(トーラー/旧約聖書の最初の五書)を象徴しています。