「推理作家ポー・最期の5日間」

 
 
・・・という映画を見ました。
HP
http://www.movies.co.jp/poe5days/
 
エドガー・アラン・ポーの作品を真似た殺人事件が起こり、
警察がポーに犯人捜査の協力を求める、
というストーリーです。
 
原題は『THE RAVEN』。
これはポーの出世作である詩のタイトル。
日本語では「大鴉」(おおがらす)。
 
ほかにも映画にはポー作品の中の、
「モルグ街の殺人」
「赤死病の仮面」
「落とし穴と振り子」が、ほぼ原作どおりに、
そして
「マリー・ロジェの謎」
「アモンティリャードの樽」
「告げ口心臓」
「早すぎた埋葬」などが断片的に出てきます。
 
まったくポーの作品を読んでいなくても
十分楽しめるストーリーです。
ただ・・・
次々に猟奇殺人が起こり、謎が謎を呼ぶ、
という展開を狙ったのでしょうが、登場人物が少なくて、
なんとなく犯人の目星がついてしまったのは、
個人的に残念でした。
 
あ、R15指定です。
流血が苦手な人にはおすすめしません。
 
邦題の通り、ポーの死の直前の出来事という設定。
というのも、40歳という若さで亡くなった
ポーの死の原因については、
よく分かっていないからです。
 
1849年9月28日、ポーは講演先のリッチモンドから、
住まいのあるボルティモアに戻ってきます。
それから5日後の10月3日、
ボルティモアの酒場の前で、意識朦朧状態で
発見されるのです。
映画は、この空白の5日間のことを指しているのでしょう。
彼はワシントン大学病院に搬送されますが、
10月7日午前5時にそこで亡くなります。
 
ポーは息を引き取る直前に「レイノルズ」という言葉を
繰り返し発していた、と言われています。
しかしその意味はいまだ、謎のまま。
今回の映画は、このエピソードに答えを与える形で
終わっています。

 
ポーの作品すべてに漂う陰鬱さは、
彼の人生そのものでした。
 
生まれてすぐに両親を失い、10代で借金まみれ。
詩や小説での収入はわずかで、つねに赤貧生活。
酒びたりで精神不安定。
14歳年下の妻は、結核でポーより2年早く死去。
そして彼自身、まるでその小説のように
謎めいた死を遂げたのでした。
 
 
 
さて、来週末、またまた気になる映画が公開されます。
 
というわけで、今度はあわててフロイトの伝記を
読んでいます。
こちらは「ポー」よりも豪華キャストです。