パンテオン11 イクテュス

街はもうクリスマスムード一色ですね。
 キリスト教徒ではない多くの日本人にとってクリスマスは、スペシャルな食事やデートを楽しむ口実でしかありませんが、本来クリスマス Christ + mas とはクライスト(キリスト)の誕生に感謝してミサ(マス/祈り)を捧げる日。
欧米ではこの日、恋人たちもそれぞれ実家に戻り、家族と一緒に教会に行きます。
 
クリスマスを、Ⅹ’mas と書いてあることがあります。
このⅩは英語のエックスではありません。ギリシア文字のカイです。ギリシア語のクリストゥス(キリスト)の頭文字。
 
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今日ご紹介するお魚マークにもこの文字が見えます。このサカナはキリスト教のシンボルです。5つのギリシア文字は5つの単語の頭文字。
 
  I : イエスース(イエス
Ⅹ: クリストゥス(キリスト)
Θ: テュー(神の)
Υ: ヒュイオス(子)
Σ: ソーテール(救い主)
 
そしてこの頭文字をつなげた単語イクテュスは「魚」という意味。
 まだキリスト教が迫害されていたローマ帝国初期(紀元1世紀ごろ)、クリスチャンたちはこのマークを仲間同士の暗号として使っていました。いまでもキリスト教会では、イクテュスのシールやしおりなどをよく売っています。
 
私はアメリカの住宅街で、立派な木彫りのイクテュスを玄関ドアに飾っている家を見たことがあります。その一家がカトリックである証です。
京都の街角で、このシールを窓に貼ったタクシーを見かけたこともあります。
電車の中で、イクテュスのペンダント(写真右下)をつけているご婦人を見かけたこともあります。
 
現代でも、イエスの教えを信じるもの同士が仲間をみつけることのできる秘密のマークなのです。