エル・グレコの愛したトレド

スペイン旅行の続きです。
マドリッドからバスで、トレド半日観光に向かいます。
 
トレドはよく古都と言われ、最初にトレドに都が置かれたのは6世紀。ゲルマン民族イベリア半島に建てた西ゴート王国(415年~711年)が560年にこの地に遷都したのが始まりです。
 
キリスト教国の西ゴート王国は、8世紀にイスラム教徒(ウマイヤ朝に滅ぼされ、トレドもその支配下に入ります。しかし11世紀にキリスト教徒が再征服しやはりトレドを都としました。
 
その後16世紀にマドリッドに遷都されるまで、スペインの都でした。三方をタホ川にぐるりと囲まれた丘の上にあるトレドは守るに易く、攻めるに難い好立地だったのです。
 
タホ川が最も湾曲している部分でバスが止まります。
トレドの町を外側から見下ろす絶景ポイント。
みんな記念写真をパチリ。
 
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街の入り口はちょうどこの裏側。
バスで橋をわたり、下車後は長いエスカレーターでぐんぐん上がってやっと旧市街に入ります。
 
中世のまま時が止まったような、世界遺産トレドは、迷路と坂の街。ガイドにしっかりついていかないと迷子になります。
スペインでは既におなじみとなったユダヤ人街を抜け、トレド観光の目玉、サント・トメ教会に到着。
ここに、エル・グレコの傑、『オルガス伯の埋葬』があるのです。
 
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サント・トメ教会を建てたオルガス伯が亡くなったとき、
アウグスティヌス
聖ステファヌスが地上に降りてきてその遺骸を埋葬した、という伝説を描いたもの。
中央には、赤子の形をした伯爵の魂が天に昇っていく様子が
描かれています。
また群集の中の、こちらを見ている男は画家エル・グレコ自身、
画面左下の少年は彼の息子とされています。
 
この作品は教会の壁に飾られており、外に貸し出されることはまずないので、ここに来なければ見られない作品です。
 
エル・グレコは16世紀スペインを代表する画家ですが、
実はクレタ島生まれのギリシア人。
エル・グレコ”とは“ギリシア人”という意味のあだ名。
本名はドメニコス・テオトコプーロスといい、彼の作品には本名でサインが残されています。
ヴェネツィアやローマで絵画修行をしたのちスペインに渡った彼は、その後亡くなるまでトレドに住みました。
 
私は昔、鬼気迫るようなその独特の作風と、異様に長く引き伸ばされた肢体があまり好きではなかったのですが、最近はだんだんと魅力を感じるようになりました。
 
そういえば、いま大阪でエル・グレコ展を開催中ですね。この展覧会は来年東京に巡回します。

既にプラドで見た作品もあるのですが、なんとなく早割りペアチケットを購入してしまいました。
グ・レ・コにちなんで1枚905円でした(笑)。
 
ちなみにエル・グレコの作品は日本に2つしかありません。
岡山県大原美術館にある「受胎告知」と
上野の国立西洋美術館にある「十字架のキリスト」です。
いずれも常設展示なので、いつでも見ることができます。