受験生はつらいよ

水曜・中国デーです。
受験シーズン、ということで、
今日は中国の受験地獄、「科挙(かきょ)」についてのお話です。
 
科挙とは“科目選挙”の略で、
隋の時代(6世紀末)に始まった官吏登用制度。
つまり公務員試験のようなものです。
1905年に廃止されるまで行われていました。
 
時代によって仕組みが多少異なりますが、
宋(そう)の時代(10~13世紀)を例にとってみると・・・
 
まずは各州での地方試験「郷試(解試)」を受けます。
これは予選みたいなもの。しかし3年に1度しか実施されません。
(つまりこれに落ちたら、3年後まで待たねばならない。
のちの明代にはこの郷試の受験資格を得るための試験が設けられる。)
受験者は10万人以上。
 
郷試に受かったら翌年、都で実施される「省試」を受験。
この時点でもまだ受験生は1万人以上います。
省試に落ちたらまた郷試からやり直し。
 
郷試や省試は、1畳ほどの狭い部屋に監禁されて、
2泊3日の試験を3回受けます。食料、文具、布団は持参。
もちろん持ち物検査があります。
 
試験科目は主に3つ。
1:「四書五経」と総称される儒教の経典の解釈
(62万字以上に及ぶ内容を暗記していないと解けない)
2:詩作(五言律詩など)
3:時事問題についての政策論文
 
・・・かなりの難問です。
なんとか受かりたい一心で、四書五経を小さな字でびっしり
書きつけたカンニング下着を持ち込もうとする受験者もいました。
しかしカンニング行為が発覚すれば、即死刑です。
 
隋・唐時代は郷試→省試の2段階選抜でしたが、
宋代にはさらに最終試験として「殿試」が加えられます。
殿試は宮殿で皇帝陛下みずからが行う面接試験です。

数千倍の競争率を突破してここにたどり着くのは300人程度。
しかし不合格者は出さず、順位をつけます。
この順位で配属先が決まります。
殿試で首席をとった者を「状元」と呼びます。
関連記事:http://blogs.yahoo.co.jp/moralehistorya/31513214.html
 
井上靖の小説を原作にした『敦煌』という映画は、
佐藤浩一演じる主人公がこの殿試を受ける場面から始まります。
 
25歳くらいで初めて受験し、30代のうちに合格すれば上等。
70歳にしてやっと合格する人もあれば、
科挙に挑戦しつづけたあげく、ついに合格できずに
一生を終える受験生もいました。
 
科挙に比べたら、今の大学受験は楽勝ですよ(?)。
受験生諸君!もうひとふんばり!!