王羲之展

水曜・中国デーです。
2月1日
東京国立博物館で開催中の
「書聖・王羲之~書を芸術にした男~」(3月3日まで)
を鑑賞しました。
 
書聖・王羲之の「蘭亭序」。
「永和九年」で始まる、あまりにも有名なその書は、
現在誰も見ることができません。
唐の太宗(第二代皇帝)が王羲之の書を愛でる余り、
彼の真筆の多くを自分の墓に入れさせたからです。
特に蘭亭序は、それを保管していた人をだまして
盗み出させるほどの執心ぶりでした。
 
現在「蘭亭序」と呼ばれる作品のすべては、
誰かが作ったコピーです。
手本を横において真似て書く臨書だけでなく、
手本の上に薄い紙をおき、まずは極細の筆で輪郭をなぞり、
その後なかを塗りつぶす、という方法もあるそうです。
 
唐の欧陽詢や褚(ちょ)遂良など
あらゆる時代にあらゆる人々によって
模写された蘭亭序がずらずら並ぶ、
まさに蘭亭序三昧な展覧会でした。
 
後半には清朝最後の皇帝、宣統帝溥儀の
作品もありました。蘭亭序の中に出て来る文字を
拾い出して別の文章を作ったものです。
 
出口近くにあった、篆書の般若心経の掛け軸も
すごく良かったなあ。
12幅の掛け軸の1幅につき2行、各行12文字。
視界いっぱいに整然と並ぶ篆字。うーん、壮観。
 
基本的に私は楷書が好きです。
普段、字を書くときは顔真卿の楷書を
頭の中でお手本にしていますが、
自分では書けない秦代の篆書と、漢代の隷書を
眺めるのが好きです。
ちなみに日本の書道のお手本の字は
王羲之の字です。
 
ところで・・・楷書→行書→草書の順にできた、
と思っていませんか?
実は楷書の次に、行書と草書が同時にできました。
 
最後に、王羲之にまつわるエピソードを一つ。
あるとき街で扇を売っているおばあさんがいました。
しかしあまり売れている様子はありません。
そこへやってきた王羲之。サラサラ、と
扇になにやら書き付けました。
 
商品に落書きされ、おばあさんは怒りだしました。
しかし王羲之
「これは王羲之が書いたものだ、と言って
売ってごらんなさい。高くても売れますよ。」
 
扇は飛ぶように売れ、後日おばあさんは
自ら王羲之のもとへ行き、扇に字を書いてほしい
と頼みました。
しかし王羲之はなんのことかな、とニコニコしながら
ごまかすばかりでした。
 
王羲之の書は彼が生きているころから
すでに評判だったのですね。