パンテオン16 詩篇の豆本

聖書には旧約聖書新約聖書の2種類があります。
ともにキリスト教聖典です。
 
新約聖書がイエス・キリストの伝記やその弟子たちの
手紙、言行録などから成るのに対し、
旧約聖書は、キリスト教が成立するずっと以前に書かれました。
これはもともとユダヤ教聖典です。
 
旧約の内容は、天地創造から始まるヘブライ神話であり、
古代オリエント世界におけるヘブライ民族(ユダヤ人)の歴史です。
アダムとイブの創造、ノアの箱舟モーセ十戒
栄華を極めたソロモン王やダヴィデ王、バビロン捕囚などの話が
出てきます。
当然イエスは出てきません。
 
そういうわけで、旧約(旧い契約)とか新約(新しい契約)
とかいうのはキリスト教の立場からの呼び方です。
本家ユダヤ教では、旧約聖書のことを「タナハ(TNK)」といいます。

これは3種類の書物の頭文字をとった総称です。
「トーラー(律法の書/モーセ五書)」
「ネヴィイーム(預言者の書)」
「ケトゥヴィーム(その他もろもろの書)」。
※この場合のKとHはヘブライ語では同じ文字
 
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あ~前置きが長かった。
今日の写真をご覧ください。
ケトゥヴィームのなかの『詩篇(テヒリーム)』です。
キーホルダーつきのケースから取り出して開くと、
小さなヘブライ語がびっちり。
 
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ヘブライ語アラビア語は、英語と逆に右から左へ書くので、
日本語の縦書きの本と同じように右綴じです。
神への賛美、感謝、嘆きなどをうたった『詩篇』の中でも
特に有名な箇所といえば1つは第23編。
 
「主はわが牧者なり
われ乏しきことあらじ。
主はわれを緑の野にふさせ
いこいのみぎわに伴いたもう。
主はわが魂を活かし、御名(みな)のゆえをもて、
われを正しき道に導きたもう。
たとい、われ死の陰の谷を歩むとも
わざわいを恐れじ。
なんじ、われと共にいませばなり。」
 
キリスト教徒にもなじみのある箇所ですね。
賛美歌2編41番の歌詞になっていますし、
かつて世界中で話題になった、核戦争の恐怖を描いた絵本(映画)
風が吹くとき』のラストシーンで、
ジムが唱えたお祈りもこの部分でした。
 
もう一ケ所、キリスト教との関連であげるなら第22編。
「我が神、我が神、
なにゆえ私を見捨てられるのですか。
(エリ、エリ、レマ、サバクタニ。)」
 
十字架上のイエスが、死の間際に叫んだ言葉です。
彼もユダヤ人ですから、当然詩篇をよく読んでいたでしょう。
(マタイ27:46/マルコ15:34)
 
最後に、私のお気に入りの箇所を。
第19編です。
「もろもろの天は神の栄光をあらわし、
大空はその御手のわざをしめす。
この日、言葉をかの日につたえ、
この夜、知識をかの夜におくる。」
 
日々、言葉もて知識をつなぐ。
それが神からたまわりし
わたくしの使命でございます。