切れそうな三日月

数日前の夜、仕事帰りに空を見上げたら、
なんとも美しい三日月でした。
「三日月」をフランス語では?
ヒントは・・・食べられます。
 
そうです。クロワッサンですね。
フランスでは朝食の定番。
クロワッサンをフランスに持ち込んだのは
マリー・アントワネットとされています。
つまりその発祥は、彼女の故郷オーストリア
今日はクロワッサン誕生のお話です。
 
16~17世紀。当時のオーストリア神聖ローマ帝国)は
イスラム国であるオスマン・トルコ帝国と激しく対立していました。
1683年、トルコ軍が大挙してウィーンを包囲し、
人々は戦々恐々と毎日を送っていました。(第二次ウィーン包囲)
 
そんなある日の早朝、地下室で生地をこねていたパン屋さんが、
地中で妙な音がすることに気づきました。
実は、トルコ軍がトンネルを掘っていたのです。
パン屋の知らせによって、神聖ローマ帝国軍は
帝都ウィーンの陥落を未然に防ぐことができました。
 
そこでウィーンのパン組合は、イスラム教のシンボルである
三日月をかたどったパンを焼き、人々はそれを食べて
戦勝を祝いました。
にっくきイスラム教徒を食ってやった、というわけ。
確かにトルコ、チュニジアアルジェリアパキスタン
マレーシアなど多くのイスラム国の国旗には
三日月が描かれています。
 
これがクロワッサンの生まれるきっかけだった、と
よく言われていますが、英雄であるはずのパン屋の名前が
わかっていない、そっくりな話がハンガリーにもある、
などから、作り話だろうと考える向きもあります。
 
ついでにこのとき、大慌てで退却したトルコ軍の陣営に
何かが大量に残されていました。
初めてそれを見たウィーンっ子は「らくだのフン?」
と思ったそうです。
さて、何でしょう?
 
どちらかというと鹿のフンに似てるかな?
正解はコーヒー豆でした。
エチオピア起源のコーヒーは、すでに11世紀ごろから
イスラム世界でよく飲まれていました。
ムスリムはお酒を飲まないのでその代わり。と同時に
深夜のお祈りのための眠気覚ましでもありました。
 
♪むかしアラブの偉いお坊さんが~
なんて曲もありましたから、ご存知ですね。
あ、歌で思い出した。トルコつながりでもうひとつだけ。
江利チエミの「ウスクダラ」ももとはトルコ民謡。
ウスクダラ(ユスキュクダル)はイスタンブールのなかにある
地域の名前です。話が古くてすみません(汗)。
まとまりがなくなってきたところで、今日はさらばじゃ。