映画『リンカーン』

5月20日
かねてから見たかった『リンカーン』をやっとこさ見ました。
 
・・・タイトルを、もう一度声に出して読んでみてください。
 
 
・・・カー、にアクセントをおいてませんか?
正解はリ、にアクセントです。

日本人はカタカナを読むとき、無意識に「ー」のあるところに
アクセントをおいてしまいます。
例えば・・・読んでみてください。
 
「ジェファーソン」
 
ほら、「ファー」が強いですね?
でも英語では「ジェ」にアクセント。
 
なので最近は「ー」を使わずに表記することが増えています。
「リンカン」。「ジェファソン」。
固有名詞はなるべくネイティヴの発音通りに覚えたいですね。
 
そういう意味では明治時代の日本人が、文字ではなく
耳で覚えた英語の方がより本物の音に近いです。
例えば「メリケン」←「アメリカン」のアが聞こえなかった。
例えば「ラムネ」←「レモネード」のドが聞こえなかった。
あ、これもアクセントは「ネ」ではなく「レ」にあります。
 
あわわ、脱線しました。そろそろ映画のレヴューを。
映画が始まる前に、スピルバーグ監督が画面に現れて
日本人向けに映画の前提となる時代背景を語るのですが、
正直、短すぎて何の役にも立ちません。
 
アメリカ史や南北戦争を全く知らない人に向けて、少なくとも、
リンカンの所属する共和党すなわち北軍奴隷制反対派であり、
民主党すなわち南軍が奴隷制度賛成派である、ぐらいの
説明は必要かと思います。
そして奴隷制を支持する南部諸州はすでに合衆国から離脱し、
アメリカ連合国と名乗って独立国のように振る舞い、
独自の大統領や首都が存在しています。
 
映画は、あの有名な「人民の人民による・・・・」演説
がなされたゲティスバーグの戦いが終わったところから始まり、
メインとなるのは、奴隷制度の廃止を規定する
アメリカ合衆国憲法修正第13条」を
議会下院で可決させる、その過程です。
 
奴隷制を終わらせることと、戦争を終わらせることの
どちらを優先するのかをめぐり、共和党内部でも意見が対立。
憲法修正第13条を可決させるため、民主党議員を懐柔しての
必死の票集め。南部政府との極秘和平交渉など・・・。
政治的議論やかけひきが見所です。
 
もちろんリンカンの性格や家族も描かれていますが、
政治のハナシが多いので、しっかり集中して
見なければ理解しにくい部分も多いと思います。
 
かく言うわたしも、最初は議員たちの見分けがつかなかった
(おじさんばっかりなんだもん)ので、もう一度見たいです。
戦闘シーンは少ないですが、有名な北軍のグラント将軍、
南軍のリー将軍も登場していました。
 
ひとつ、へえー、と思ったのは、当時の議会での投票の仕方。
いまのように無記名で紙を使う投票ではなく、
議長に名前を呼ばれたら起立してその場で「賛成」または「反対」
と口頭で投票するのです。
つまり党内で造反する人はバレバレなわけで、
いまより相当勇気がいります。
 
今回はじめて知った英語はこの投票に使う言葉。
「賛成」は「イェイ!」・・・なんだか軽そうに聞こえますが、
つづりはyea。イヤァ、と言っている人もいました。
yesのくだけたイェー/yeahとは違います。
ちなみに「反対」は「ネイ/nay」。
 
嬉しそうに「イェイ!」、それはネェなと思ったら「ネイ!」。
覚えやすいですが、いまは投票にしか使われない古語だそうで、
日常生活で出番はなさそうです。

さて、合衆国大統領を取り上げた、次の注目映画はコレ!
『私が愛した大統領』
HP:http://daitoryo-movie.com/
(まだトレイラーなし)
 
第二次世界大戦時の大統領フランクリン・ルーズヴェルト
知られざる一面を描く作品。コメディタッチのようです。
英国王のスピーチ』で有名になったジョージ6世夫妻も登場。
主演俳優には不満がありますが(似てない!!)
一応見に行く予定。この秋公開です。