チャップリン考

仕事で、近現代史のハナシをするたびに
思っていたのですよ。
なんだかんだで、チャップリン、ちゃんと見てないなあ~。
 
チャールズ・チャップリン(1889~1977)。
イギリス生まれで、アメリカの映画界で活躍した
あまりにも有名な喜劇王
 
のわりに、彼の作品でいままでに私が見たのは
『独裁者』と『モダンタイムス』だけ。
 
チャップリンが、自分と同い年の独裁者ヒトラー
イタリアの独裁者ムッソリーニを徹底的に皮肉った『独裁者』は、
有名な最後の演説の場面だけでなく、
独裁者ヒンケルが地球の柄の風船をもてあそぶシーンも
印象的でした。
これはコメディーとしてもナチス批判の社会派作品
としても傑作です。
 
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まあ、上の2つだけでも彼の信念や魅力は十分わかるのですが、
やはりもっと定番の作品をちゃんと見てみよう、ってことで、
春の長期休暇中に、上記2作品も含め、チャップリン
代表作9作品を見ました。
というか、ちょうどイマジカBSで特集していたのです。
 
今回初めて見たのは『街の灯』『キッド』『サーカス』
『黄金狂時代』『殺人狂時代』『ライムライト』『巴里の女性』。
 
あのお決まりの、ちょび髭に山高帽、ドタ靴にステッキ
というスタイルの人物は、複数の作品に登場するキャラクター
なのですが、今回、彼の名前がトランプさんだということに
初めて気付きました。
そして作品が変わっても、トランプさんの性格はいつも同じ。
気が優しくて、惚れやすく、ちょっと間抜けで、いつも貧乏。
 
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↑『キッド』より
 
チャップリンは、作品中で使われる音楽も作曲している(多才!)
のですが、『ライムライト』は、冒頭に流れるテーマ曲を聞いて、
ああ~、この曲ってこの映画のだったのか~、と納得。
いまでもCMやいろんなところでよくきく曲でした。
 
『黄金狂時代』では、パン2つにそれぞれフォークを刺して
足のように見せ、それを両手で躍らせるシーンがあり、
むかーし駆け出しのジョニー・デップが『妹の恋人』という映画で
真似していたのを思い出しました。
オリジナルはこれだったか~。
あと、空腹に耐えかねて“革靴を煮て食う”という
どこかで聞いたような場面も。
 
『殺人狂時代』にもまた、どこかで聞いたようなセリフが。
「一人殺せば悪党で、100万人だと英雄」。
これもこの映画が大もとなのかな?
なにかの書物で見たような気もするけど。
このあと、「数が殺人を神聖にする」と続きます。
こんな恐ろしい作品も作っていたのね~。
 
などなどいろんな発見がありつつ・・・。
えー、私は無声映画も白黒映画も、全く苦もなく見られるのですが、
チャップリンの作品はやっぱりコメディーが真骨頂ですね。
長編やシリアスはそれほど面白くない、というのが
正直な感想です。
でも、一通り自分で見たからこそ、最初に挙げた
2作品以外は「まあ、特に見なくてもいいよ」と
人に言えるようになりました(笑)