メトロポリタンの古代エジプト展

東京都美術館で開催中(~9月19日)の
メトロポリタン美術館古代エジプト展~女王と女神~」を見ました。
ニューヨークにある同館所蔵の古代エジプトの遺物のうち
“女王と女神”つまり女性をテーマにしたものが
展示されています。
 
去年メトロポリタンに行ったときは、アメリカ史関連の
展示を優先し、エジプトコーナーをほとんど飛ばしたので、
向こうから来てくれてちょうどよかった(笑)。
 
古代エジプトで女王といえば一人しかいません。
トトメス2世妃だったハトシェプスト女王です。
夫の死後、他の王妃が産んだ王子がトトメス3世として即位しますが、
まだ年少だったため義母のハトシェプストが共同統治権を握ります。
その後彼女は継子であるトトメスを遠ざけ、独裁権力を握って
約20年もの間、女ファラオとしてエジプトを統治したのです。
展覧会では、付けヒゲをつけて男装をしたハトシェプストの像
の数々を見ることができます。
 
古代エジプトの神々のなかで今回フィーチャーされて
いるのが「ハトホル女神」。美と愛と豊穣の女神。
牛の姿や牛の耳を持つ女性の姿で表現されます。
 
今回はシストラム(楽器)がたくさん展示されています。
もともとハトホル女神の儀式に使われたもので、柄の部分に
ハトホルの顔の飾りがついていることが多いです。
柄を持って左右に振って鳴らします。
展示ケースの前に立ち、耳を澄ましてください。
実際の音が聞こえてきます。

同様の楽器は、現在でもエティオピアで使われています。
他にハープの展示もあり、やはり音を聞くことが出来ます。
 
それほど大きくはないですが、女神イシスが息子ホルスを膝に
抱いている像が2点ほどあります。これは、
聖母マリアが幼子イエスを抱く、いわゆる聖母子像の原型に
なったものです。キリスト教が異教の影響を受けていたことを
示しています。
 
最後の最後にあったミイラケースは素晴らしいです。
表面にびっしりと描かれた絵を、ぜひ細部までじっくり見てください。

ケースの左の側面には、古代エジプト天地創造の場面
(ヌウト、シュー、ゲブの三神)が描かれており、
右の側面には「死者の書」にもある、死後の審判の場面が
描かれています。死者の魂と真実の羽根を天秤にかけている
有名な場面です。そばにはアヌビス神や、書記係のトト神もいます。
 
この展示は神戸市立博物館に巡回予定です。

では、その他の展覧会紹介です。
秋にかけて、なぜか印象派が続きます(以下5件)。
 
世田谷美術館ボストン美術館・華麗なるジャポニスム展」
大修復を終えたモネの『ラ・ジャポネーズ』を世界初公開
(~9/15)
 
国立新美術館オルセー美術館展・印象派の誕生」
マネの『笛を吹く少年』、ミレーの『晩鐘』など、有名な作品が来日中
(~10/20)
 
国立新美術館チューリヒ美術館展・印象派から
シュルレアリスムまで」(9/25~12/15)

三菱一号館美術館ボストン美術館・ミレー展」
岩波書店のマークにもなっているミレーの『種をまく人』がきます
(10/17~来年1/12)

Bunkamuraザ・ミュージアム「夢見るフランス絵画・印象派から
エコール・ド・パリへ」(10/18~12/14)。

きっと一年中、日本のどこかで印象派と名のつく展覧会を
やっているのでしょう・・・。
 
私がいま気になっているのは
三菱一号館美術館の「ヴァロットン展」(~9/23)。
それとBunkamuraの「進化するだまし絵」(8/9~10/5)。
 
そして一番楽しみなのは、やはり
東京都美術館の「ウフィツィ美術館展」!!
ボッティチェリがたくさんきます!
(10/11~12/14)
HP:http://www.uffizi2014.com/
前売りペア券がお得!
 
明日はムセイオン・クイズの正解発表です。