『グローリー ~明日への行進~(SELMA)』

キング牧師の活躍を描いた映画『グローリー ~明日への行進~』を、やっとこさ劇場で鑑賞。アメリカでは昨年公開され、それと同時にテーマソングの「グローリー」が大ヒット、と話題になっていたので日本での公開を待ちわびておりました。
HP:http://glory.gaga.ne.jp/

それで邦題は『グローリー』になってしまったのですが、原題は『SELMA(セルマ)』。1965年の公民権運動の舞台となった町の名です。
(個人的には『グローリー』と聞くとどうしても南北戦争をテーマにした別の映画を思い出してしまう・・・。ショー大佐かっこよかったなあ・・・。)

1965年、アラバマ州セルマで黒人たちが選挙権を求める行進を行ったところ、エドマンド・ペタス橋の近くで騎馬警官を含む白人警官らに襲撃されます。これはテレビで中継され、無抵抗の黒人たちが警棒で殴られ、引きずられ、血まみれで逃げ惑う様子は全米に衝撃を与えました。この事件は「血の日曜日」と呼ばれています。

この事件を受け、キング牧師は同じセルマの地でさらに大々的な行進を指導。それが「セルマ大行進」です。
今年2015年3月7日はこの「セルマ大行進」からちょうど50年。この日オバマ大統領はエドマンド・ペタス橋のたもとで、公民権運動に参加した人々の努力と犠牲があったからこそ、自分は大統領になれたのだ、と語りました。

さて、映画はキング牧師ノーベル平和賞の授賞式に臨むところから始まります。すでにケネディ大統領は暗殺され、公民権法も成立しています。
と、突然の爆発音!!あ~びっくりした。KKKによる教会爆破事件の場面でした。黒人少女4人が犠牲となりました。

ほかにも黒人青年が白人警官に射殺された事件など、実際の事件や実在人物がたくさん登場し「血の日曜日」の場面では当時の実際の映像も使われています。
キング牧師が自宅で脅迫電話の録音を聞いている場面では、テーブルの上に、座っているガンジーの像が置かれています。キング牧師の非暴力不服従運動はガンジーのそれをお手本にしているからです。ぜひガンジー像を探してみてください。

キング牧師を演じるデヴィッド・オイェロウォは『大統領の執事の涙』で主人公の長男を演じていましたが、そのときとは随分雰囲気が変わっていて、本物のキング牧師によく似ていました。
またキング牧師の奥さんを演じている黒人女優さんがめっちゃ美人☆
劇中やエンドロールで使われているスチール写真は日本人のカメラマンが撮影したもののようです。ニシジマ・アツシさんて、アメリカでは有名なのかしらん。

平日昼間の狭い単館劇場ながら座席が8割方埋まっていました。劇中でピーター・ポール&マリーの話が出てきて登場人物たちがその歌を歌いだしたときに、客席からにわかに笑いがもれたので、なるほど、みなさんこのころ青春時代を過ごしたのね、とさとりました。

エンドロールにこの作品はフィクションです、とありましたが、かなり忠実に歴史を再現していると思われます。
身の危険も顧みず差別と偏見に立ち向かい、正義と信念を貫こうとする人々の姿にとても感動を覚えました。もっと多くの映画館で上映すべきだと思います。

黒人差別や公民権運動をテーマにした映画はたくさんありますが、私のお気に入りは『グレート・ディベーター 栄光の教室』です。ラストが感動的!

最後に今後の注目映画です。
ヒトラー暗殺 13分の誤算』10月16日公開 
家具職人がたった一人でヒトラー暗殺を計画!?実話です。

『海難 1890』12月5日公開
日本とトルコの友情譚、エルトゥールル号事件がついに映画化!

杉原千畝 スギハラチウネ』12月5日公開
何度もドラマになってますが、今後は映画になりました。杉原さん役は唐沢敏明。

「Travel.jp」という旅行案内サイトに記事を提供中。
HP→ 
http://guide.travel.co.jp/ たびねす
現在「ベルギー、ルネ・マグリットミュージアム」「トルコ、世界遺産エフェソス」「中国旅順・日露戦跡5選」「NY、国連本部ビルへ行こう」の4本を掲載中。
今後ともブログとたびねす記事をよろしくお願いいたします。