名画奪還!「ミケランジェロ・プロジェクト」

ナチスがヨーロッパ中から強奪した貴重な美術品を、無傷で奪い返せ!
連合軍所属の「モニュメンツ・メン」たちの活躍を描いた、実話に基づく映画を見ました。邦題は『ミケランジェロ・プロジェクト』(原題『モニュメンツ・メン』)。
HP:http://www.miche-project.com/

若い頃画家を目指していたヒトラーは、自分が征服した国々の貴重な美術品や芸術品を集めて、故郷オーストリアに「総統美術館」を建てることを夢見ていました。
大戦末期、ナチスが各地から奪い去ったお宝を取り戻すべく編制されたのが、特殊部隊「モニュメンツ・メン」。当初はたった7人の学者や芸術家から成るグループで、そのリーダーである美術史家ストークジョージ・クルーニーが演じています。舞台は主にドイツ占領下のパリとドイツ。

サブタイトルに「芸術はプロ、戦争はド素人」とあるように、戦争未経験の彼らが戦場を駆け回ってナチスがため込んだお宝のありかを探し回る様子が、ときにコメディータッチで描かれています。
ドイツの敗色が濃くなると、ヒトラーは「私が死んだら、集めた美術品を全て破壊せよ」との命令を出したため、貴重な美術品の奪還は急務となります。実際に焼き払われ、永遠に失われた絵画も多数あります。

少しだけネタバレになりますが・・・
ナチスは奪った財宝を岩塩坑に隠していました。塩の町、という名
をもつオーストリアザルツブルクの岩塩坑などはその代表です。おそらく、塩に吸湿効果があり、地下空間であるため温湿度が安定していることが絵画などの保存に適していたのだと思われます。

さて、モニュメンツ・メンが奪還に成功した芸術品は約500万点。しかしそれはナチスが奪って隠した文化財のほんの20%に過ぎず、残りはどこへ行ったのやら・・・。ドイツのどこかに、いまも宝の山が眠っているのかもしれませんね。
取り返された芸術品の中には、私が昨年ベルギーで見てきたばかりの「ゲントの祭壇画(神秘の子羊)」やミケランジェロの「聖母子像」が含まれていて、あの作品がこんな危機をかいくぐっていたなんて!と驚きました。

ブリュージュ聖母マリア教会にあるミケランジェロの「聖母子像」↓
イメージ 1

イメージ 2

ちなみにモニュメンツ・メンは今も存在し、活動しているそうです。中東の危機にさらされている文化財も救い出してほしいなあ。
今回のパリ襲撃も、もしルーヴルやノートルダムだったら、あるい
は次の標的だったら、と考えると苦しくて不安で私は夜も眠れません。
もちろん人命は大切だけど、人間はまた生まれて増えるので、過去の偉人が残してくれた文化こそ、失われたらとりかえしがつかない・・・映画の中でストークスも同じようなことを言っていました。

ラストの数秒に、年をとったストークスが登場するのですが、ジョージ・クルーニーに老けメイクをほどこした訳ではなく、別人のように見えたので、エンドロールを注意して見ていたら、Nick Clooneyとの表記が。ジョージ・クルーニーのお父さんでした!
監督・製作・脚本そして主演までしているジョージ・クルーニー
自分のお父さんをこっそりキャスティングしてたんですね~。

最後に、美術関連の気になっている映画です。
●『美術館を手玉にとった男』
贋作師の素顔を追うドキュメンタリー

●『黄金のアデーレ 名画の帰還』
クリムトファンにおすすめ