眼福ありすぎ☆怒涛の「黄金伝説展」!

国立西洋美術館で開催中の「黄金伝説 古代地中海世界の秘宝」展に行ってきました。
HP:http://www.tokyo-np.co.jp/gold/

第1章はギリシア神話の「金羊毛伝説」に関する展示です。アルゴー船に乗って金色の毛をもつ羊を捕まえにいく英雄イアソンのお話
この物語にちなみ、中世のフランスで「金羊毛騎士団」が作られました。やがてその中心はハプスブルク家やスペインのブルボン家移ります。
ハプスブルク家の皇帝の肖像を見ると、胸のところに金の羊がぶら下がっていますね。あれが金羊毛騎士団員の証です。ちなみにこの騎士団は現存しており、ヨーロッパの主な君主はもちろん、日本の今上天皇陛下も団員です。

参照↓(少年時代のカール5世/16世紀)
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話を戻して。この第1章での見所はやはりギュスターヴ・モロー『イアソン』。彼の後ろには、魔法を使って彼を助けた王女メディアが立っています。モローってだけで大好きです♪
地下展示室に降りると、ブルガリアで発見された、今から6000年以上前の有力者の墓が再現されています。
副葬品に金がふんだんに使われており、いわば世界最古級の黄金細工。そして複製の骨の周りにそれらが出土の瞬間のまま忠実に配置されているのがすごい!!
被葬者の身長はなんと178センチ。古代人なのにでかい!

第2章ではトロイ文明をはじめとするエーゲ文明に関する黄金の展示品が並んでいます。半分以上はアテネ国立考古学博物館からの出品だから、私は現地で見たはずなんだけど・・・。
黄金の首飾りに耳飾り、腕輪、ディアデマ(額飾り)。まばゆいば
かりの展示品に目がチカチカ☆
展示品の中に「フィブラ」というものが多数あります。これは服
を留めるもので、安全ピンの元祖です。

ここで黄金はちょっと休憩。ギリシア神話関連の遺物や絵画が続きます。
題材となっているのは・・・
ゼウスが金の雨に姿を変えてダナエと交わりペルセウスが生まれた話(ペルセウスはゴルゴン三姉妹のメドゥーサを倒す英雄)。
トロイ戦争の発端となった「黄金のリンゴ」。
触れるもの全てが金になってしまうミダス王の話。
俊足のアタランテーが黄金のリンゴに気を取られて徒競走に負ける話などです

第3章は『ヴァルチトラン遺宝』と呼ばれるトラキア(古代ブルガリア)の黄金の食器類。13点、総重量12キロ。
これは農作業中の兄弟が畑から掘り出したもので、真鍮のがらくた
と思い、豚にエサをやるのに使っていたら、豚が舐めまわすうちに黄金に輝き出してびっくり仰天!という代物です。

また『パナギュリシュテ遺宝』の3つ黄金のリュトン(女神型、鹿型、アンフォラ型)は底のあたりに小さな穴があいています。
飲み物をここに注ぐときはこの穴を指でふさいでおき、飲むときは
この穴から飲みました。ぜひ屈んで穴を探してみてください。

第4章はエトルリア(ローマ以前のイタリア半島にいた民族)の黄金細工。今回ここで面白いものを見つけました。それはオリエント文明の影響を強く受けた平皿、パテラです(出展品リストNO.214)

丸い金のお皿の内側にチャリオット(戦車)や人々が彫られているのですが、全体的にどうもエジプト風。かと思うと、バビロンの城門を思わせるメソポタミアっぽいところもあって、なんだか色々混ざってる~!!という感じでした。
ミュージアムショップで売っているTシャツのデザインにもなっていたので、主催者側もそのユニークさに注目したのでしょう。

まあとにかく今回の展示はタイトル通り黄金三昧ですよ。
細か~い!すご~い!へえ~、わあ~、ため息。
暗い展示室の中で、金のアクセサリーだけが輝いている空間。なん
だか宝飾店に迷い込んだような気分でした。

最後に住友金属鉱山という会社が鹿児島県の「菱刈鉱山」から採掘した巨大な金鉱石が展示されています。よく見るとかすかにキラキラと粒子が輝いている層があります。ここから金だけを取り出すのって大変そう~。

黄金展を鑑賞し家に戻って初めてパリでのテロのことを知りました。世界大戦終結から70年。21世紀が戦場を選ばない戦争の時代になるとは・・・。犠牲者の方のご冥福をお祈りします。心の中でラ・マルセイエーズ」を歌いつつ。

では最後に来年開幕する注目の展覧会です。
☆「フェルメールレンブラント」森アーツセンターギャラリー・1月14日~3月31日
☆「レオナルド・ダヴィンチ 天才の挑戦」江戸東京博物館・1月
16日~4月10日
☆「ボッティチェリ展」東京都美術館・1月16日~4月3日
☆「カラヴァッジオ展」国立西洋美術館・3月1日~6月12日
☆「黄金のアフガニスタン東京国立博物館・4月12日~6月19日
今回の黄金伝説展を見逃した方はこちらをどうぞ!)

★今年のお勧め展覧会は兵馬俑展の記事の最後↓をご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/moralehistorya/33942984.html

◆「Travel.jp たびねす」という旅行案内サイトに記事を提供中
澁澤りべかの最新記事はこちら↓
「マノハラホテルでボロブドゥール三昧」
http://guide.travel.co.jp/article/14045/

一番人気の記事はこちら↓
「呪いのベンツは現存する!ウィーン軍事史博物館」
http://guide.travel.co.jp/article/13738/

古代ギリシア関連記事はこちら↓
アテネの古代料理レストラン」
http://guide.travel.co.jp/article/13426/