封印されたドイツ国歌

オリンピックや国際試合などで、
よく外国の国歌を聞きますね。
 
アメリカ、フランス、イギリスの国歌は
比較的よく知られていると思いますが・・・。
ドイツ国歌のメロディー、思い浮かびますか?
 
優雅なのに力強くて、私はけっこう好きです。
歌ってお聞かせできないのが、残念(笑)。
まあ、YouTubeでお聞きください。

実は、現在ドイツ人が歌うドイツ国歌は3番の歌詞です。
民族の統一と正義と自由を求める、3番しか歌いません。
 
ドイツの女性やワインを誇る、2番の歌詞は
あまり好まれず、
1番の歌詞は、歌うこと自体が固く禁じられているのです。
なぜそうなったのか、歴史を振り返ってみましょう。

現在のドイツ国歌は18世紀末に、かのハイドンが作曲しました。
そもそもは、神聖ローマ帝国ハプスブルク家)の
皇帝をたたえるために作られたものでした。
なのでエリザベート関連の映画などでも
よくバックにこの曲が流れています。
 
第一次世界大戦後、この曲は歌詞を変えて
ワイマール共和国(当時のドイツのこと)の国歌となります。
また、讃美歌194番のメロディーにもなっています。
 
やがて時代は、ナチス・ドイツの支配と、第二次大戦へ。
当然、愛国心や戦意を鼓舞するため、国歌は
さかんに歌われました。
 
1番の歌詞の概要はこうです。
『ドイツよ、ドイツ! 世界に冠たるドイツ!
兄弟のごとく団結し、領土を守れ。
世界の全ての上に立つドイツ!』
 
ご存知のように、ドイツはチェコスロバキアポーランド
フランスなどヨーロッパ中を蹂躙。
ナチス支配下におかれた国の人々にとって、
このドイツ国歌は忌まわしい記憶となりました。
 
その後、3番のみが西ドイツの国歌となり、
東西ドイツの統一とともに、
ナチス時代を思い出させる
1番の歌詞は、永遠に封印されることと
なったのです。