トルコの一休さん

ナスレッディン・ホジャを知っていますか?
 
トルコを中心とする中東諸国で有名な、
イスラムの坊さん(説教師)です。
といっても、架空の人物(のはず)ですが、
中東では多くの人が、彼を実在人物と信じています。
彼の生家、なるものまであるほどです。
 
トルコでは彼の伝記(マンガ)の各国語版がつくられ、
みやげ物店などで売られています。
ホジャとゆかりの深い、アクシェヒルの街には
彼の像もあります。
 
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今年7月、久しぶりに
代々木上原のモスクを訪れたさい、
ホジャを紹介する絵本(無料)が
あったのでもらってきました。(←写真)

文字が大きくて、すべての漢字に
ふりがながあり、子供向きです。
 
この中に、彼にまつわる逸話が
11話、入っています。
今日はその中の1つ、私のお気に入りを
紹介しますね。

   ♪         ♪         ♪
 
 
ある日、ホジャは隣の家から大きな鍋を借りました。
そして数日後、家にあった小さな鍋をのせて返しました。
「借りている間に、鍋が赤ちゃんを生みましてな。」
 
隣人は最初は戸惑いましたが、
「まあ、そういうことなら。」
と2つの鍋をうけとり、上機嫌で奥さんに報告。
 
しばらくの後、再びホジャは隣家から大鍋を借りました。
しかし、いくら待っても返してくれないため、
隣人は催促しました。
 
するとホジャは言いました。
「いやー、お気の毒です。あの鍋は、
お借りしている間に死んでしまったのですよ。
まあ、丁重に葬っておきましたから。ご安心を。」
 
すると隣人は烈火のごとく怒り、
「いいかげんにしてください!
鍋が死ぬわけがないでしょうが!!
あなた、うちの鍋を巻き上げる気ですな!」
 
ところはホジャはまったく動じず、
「おや、これは異なことを!
鍋が子供を生んだことは信じたくせに、
鍋が死んだことは信じないのですか!!」
 
・・・ちゃんちゃん。

一休さんというより吉四六(きっちょむ)さん
・・・かな?