日本初の「第九」演奏会

そろそろ、第九のチケットをとらないと、
という季節ですね。
うちは第九派ではなく、メサイア派ですが。
ちなみに、年末に第九を聞くのは日本だけの習慣です。

先日、一次大戦のときに日本が
ドイツの租借地、青島を攻略し、多くのドイツ人が
日本に連行された、と書きました。
前の記事:http://blogs.yahoo.co.jp/moralehistorya/31182311.html
 
それで思い出した話を。
 
まあそういうわけで、当時の日本には
ドイツ人捕虜(俘虜ふりょ)の収容所が
各地にありました。
その中の、徳島県鳴門市にあった「板東俘虜収容所」を
舞台にした映画があります。
バルトの楽園(がくえん)』です。
 
映画なので、多少の演出・脚色はあるにせよ、
登場人物はほぼ実在で、概ね史実にそったストーリーです。
徳島で「板東」、てだけで、
板東英治も出演してます(←いも芝居)。
 
主人公はドイツ人捕虜に対してとても寛容だった、
収容所所長の松江豊寿松平健が演じています。
 
この収容所では、捕虜たちがサークル活動を楽しんだり、
簡単に外出ができて周辺に住む日本人と
触れ合ったり・・・と、
一般的な収容所のイメージ(少ない食料、強制労働、
日本人による虐待)とはかけ離れた待遇だったのです。
 
実は、日本で初めてベートーベンの交響曲第9番
いわゆる「第九」が生で演奏されたのが、
この「板東俘虜収容所」においてでした。
もちろん演奏したのは捕虜たち。
そして観客は、はじめてクラシックを耳にする
日本人の村人たち。
1918年、6月1日のことでした。
このコンサートの場面が、映画のクライマックスに
なっています。
 
この映画のロケに使われたセットが、
いまも一部、残されているそうです。
ご興味あるかたはこちらをごらんください。
 

映画の中に、パン職人のカルル・バウムという
ドイツ人が出てくるのですが、
もしや、この人物はバウムクーヘンを日本に伝えた
カール・ユーハイムをモデルに作られたのでは?
と私は勝手に思っています。

つづく・・・。