バッカスに捧ぐ5 伝説の東郷ビール

久しぶりに「坂の上の雲」のお話。
前の記事:http://blogs.yahoo.co.jp/moralehistorya/30849874.html
 
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日露戦争で日本の連合艦隊
バルチック艦隊を破ったことは
ご存知ですね。
 
『この知らせを聞いて、日本人だけでなく
遠い北欧の国、フィンランドの人々も
東郷平八郎に大喝采をおくりました。
そして彼の活躍を称え、このビールを
造りました。』
 
 
 
・・・というのは
ウソです!!
 
 
この伝説は日本中に広く流布していて、
かつては高校で使われている資料集にも
ビールの写真入りで紹介されていました。
しかし最近は削除されています。
 
 
 
 
 
確かに。
日露戦争当時、フィンランドはロシアの支配下にありました。
日本の勝利は、あるいはフィンランド人の独立の気運を
高めたかもしれません。
 
確かに。
アジアの小国がヨーロッパの大国を打ち負かしたことは、
世界各国に衝撃を与え、
特に欧米列強の帝国主義的搾取を受けていた
アジア諸国に勇気を与えました。

しかし。
いわゆる東郷ビールが作られたのは
1970年代になってからのこと。
フィンランドのピューニッキ社が発売した
「世界の名提督ビール」というシリーズの中の一人に
東郷も入っていただけです。
 
このシリーズには、イギリスのネルソンや、
ロシアのマカロフ、また山本五十六なども入っていて、
彼らの肖像がラベルになっています。
 
つまり、フィンランドで東郷だけが
特別扱いされていたわけではないのです。
 
ピューニッキ社は既に倒産しており、
日本で手に入る東郷ビールは、
オランダ産ビールに東郷のラベルを貼った、いわば復刻版。
いまも横須賀あたりの土産物店で
手に入るようです。
 

最近涼しくなってきたので、
そろそろビール以外のお酒にしましょうかね~。