ロンギヌスの槍で戦うダヴィンチ

FOXHDで放送中の「ダ・ヴィンチと禁断の謎(DaVinci's Demons)」
を見ています。
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前回の第7話では、バチカンの機密文書庫に潜入したダヴィンチに、
ローマ教皇ダヴィンチと敵対している)が、彼を懐柔しようと
バチカンの所蔵する秘宝の数々をみせつける、
という場面があったのですが・・・。
 
どうみてもツタンカーメンの黄金のマスクと思われるものが
あったのは、まあ、ご愛嬌。
ちなみにツタンカーメンの墓と黄金の財宝が発見されるのは
1922年のことです。
 
わたしがオイオイと思ったのは、追っ手につかまりそうになった
ダヴィンチが、あの“ロンギヌスの槍”を振り回して
応戦したことです。
(これも、なんでここにあるねん!?というつっこみはおいといて。)
教皇は“運命の槍”と紹介していましたが、
これは現在一般に“ロンギヌスの槍”と呼ばれています。
 
アニメ「エヴァンゲリオン」をご存知の方にはおなじみですね。
柄がネジネジになった二又のフォークのようなアレ。
しかし実物(?)はこんな形↓。柄がとれています。
ドラマに出てきたのもこれです。
ウィーンにあるハプスブルク家の宝物館で見ることができます。
 
イメージ 1
 
ロンギヌスの槍」とは聖遺物の一つ。
エスが十字架上で息絶えたときに、ロンギヌスというローマ兵が
「もう死んだかな~??」とイエスの右のわき腹を槍で
突き刺しました。そのときの槍のこと。
 
ちなみにその傷口からふき出したイエスの血が目に入って、
ロンギヌスの目の病が直ったとか、
そのふき出した血を受けたさかずきが聖杯だとか
いろんな伝承が生まれました。
ロンギヌスはこのあとキリスト教に改宗しています。
 
これが本物の「聖槍」かどうかはともかく、
この写真の槍について語られていることはというと・・・。
 
作られたのはおそらく8世紀のカロリング朝時代。
すでにイエスの時代ではありません・・・。
カール大帝シャルルマーニュ)がローマ教皇から授かったもの。
(※それ以前の複雑な来歴は伝説の域を出ません。)
以来、紆余曲折がありながらも一応、代々の神聖ローマ帝国
(昔のドイツ)の皇帝に引き継がれてきました。
 
長さは50.7センチ。中央部分にタテの溝があります。
そこに細長い鉄のクギがはめこまれており、
このクギは、イエスの体を十字架に打ちつけたさいのクギと
されています。
 
もとは神聖ローマ皇帝守護聖人である聖マウリティウス(3世紀)の
遺物とされていましたが、オットー大帝(10世紀)のころには
日本の天皇家三種の神器のように、帝冠と並ぶ帝位の象徴と
みなされるようになり、同時に、どんな敵をも打ち破る、
奇跡を呼ぶ槍と考えられるようになります。

そうしていつのまにか(13世紀以降)、この槍は
ロンギヌスの槍”と呼ばれるようになりました。
14世紀中ばに、欠けていた部分を補うように金がかぶせられ、
そこには「主の槍とクギ」という銘が刻まれています。
 
これさえあれば無敵!という噂を聞きつけたナポレオンや
ヒトラーは、聖杯と同様に聖槍も探していたようです。
聖杯とされるもの、聖槍とされるもの、は世界各地に
いくつもあり、どれが本物かはわかりません。
おそらく全部ニセモノなんでしょうね~(笑)。