ルーヴル展でクレオパトラに会う

9月12日
東京都美術館で「ルーヴル美術館
~地中海 四千年のものがたり~」を見ました。
HP:http://louvre2013.jp/
 
平日の夕刻でしたが、かなり混んでました。
今月23日で閉幕しますので、これからますます
混雑が予想されます。お早めに。
 
サブタイトルの通り、世界史を僧復讐(?坊さんにリベンジ?)
もとい、総復習できる充実した内容でした。
紀元前の地中海文明に関しては、ギリシア本土のものだけでなく、
あまり目にする機会がないクレタ島キプロス島カルタゴ
チュニジア)出土のものが多く展示してあって、
見ごたえがありました。
 
フェニキア文字の刻まれた石碑もたくさんきています。
カルタゴを建設したフェニキア人が使っていたこの文字は
ラテン・アルファベットの起源となった文字です。
 
ひとつ面白いものを発見しました。それは・・・
「赤絵式クラテル:エウロペの略奪」に
塗り残しがあったのです!!
 
クラテルとは混酒器である壷のこと。
古代ギリシアではワインを水で割って飲んでいました。
クラテルは水とワインを混ぜるために使われた壷です。
当時は、「生酒(きざけ)飲み」(水で割らずにワインを飲む)
といえば大酒飲みのことです。

そしてギリシアの壷絵には、黒絵式と赤絵式があります。
赤地の陶器(素焼き)に黒い塗料で絵を描いたものが黒絵式。
つまり背景が赤で、絵が黒い。これはギリシア文明の比較的
早い時期からある描き方。
 
少し時代が下ると、逆に背景を黒く塗りつぶして
人物などを塗り残す、赤絵式が出てきます。
この場合、背景が黒で、絵が赤い。実はこちらの方が
より繊細な、凝った表現ができるのです。
 
で、今回の展示品なんですが、比較的大きな赤絵の壷で、
タイトルのエウロペの絵の裏側の面の端に、
黒で塗るべき背景の塗り忘れが!!!
もしかして未完成??いずれにしても、こんなことは珍しいです。
 
 
今回の収穫は、はじめてクレオパトラの像を、
それも3体も見られたこと。
映画「クレオパトラ」でエリザベス・テイラーがつけていたものの
モデルになったと思しき、ストレートヘアのカツラをつけた像でした。
 
エジプトといえば、「ロゼッタ・ストーン」の実物大レプリカもありました。
あ~大英博物館に行きたくなってきた~。
 
思わず笑ってしまったのは、
「ファラオとして表現されたアンティノウス像」。
テルマエ・ロマエ』を読んだ方はおわかりですね。
そう、アンティノウスはハドリアヌス帝に愛された青年です。
帝は、エジプトで事故死してしまった彼を偲んで
その像をたくさん作らせました。
しかも今回の展示品は、エジプトのファラオの扮装をしています。
ツタンカーメンの黄金のマスクでおなじみの、シマシマ
ネメス頭巾をかぶったアンティノウスです。
 
実は今回、この展覧会で私が一番楽しみにしていたのは、
とあるモザイク作品。
その作品は、私の今春のイタリア旅行にちょっとした
関係があるのです。次回はその作品のお話をしたいと思います。