ムセイオン27 ドラクマ&ギリシアユーロ

一年ぶりのムセイオンでがんす。
「ムセイオン」。ミュージアムの語源となったこの言葉はギリシア
語。ギリシアといえば・・・連日報道されている通り、大変なことになっていますね。もしかするとユーロを離脱してドラクマに戻ってしまうかも・・・

というわけで本日まずご紹介するのは、ユーロを導入する以前に使われていたギリシアドラクマ貨幣です。

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左から20、100、5ドラクマアテネの古銭屋でゲット。
20の神殿が何だかわからんなあ。パルテノンではないことは確か。柱の様式が明らかに違います。どなたかおしえてください。
そして裏はペリクレス。紀元前5世紀に世界初の民主政治を実現した偉大な政治家。将軍。民主主義の生みの親。ギリシアと言えばデモクラシーの発祥の地ですよね。

ちなみにアテネの町の真ん中にも彼の像が立っています。

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100ドラクマは古代マケドニア王国の紋章。裏は世界を征服した男、マケドニアアレクサンドロス大王

ドラクマの裏はアリストテレス。哲学者プラトンの弟子にしてアレクサンドロス大王の家庭教師でした。
私は持っていませんが、50ドラクマホメロスなんですね~。欲しいよう(涙)。もっとよく見ていればあったのかも。
そして10ドラクマ愛国者デモステネスです。これはたくさんあ
りましたが、個人的にあまり好きではないので買いませんでした。

ところで、「ヨーロッパ」「ユーロ」の語源となっているのはギリシア神話に出てくるフェニキアの王女エウロペ。彼女は牡牛に変身したゼウス神にさらわれます。

ここで、現在ギリシアが発行しているユーロ貨幣を見てみましょう

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左上の2ユーロコインにエウロペと牡牛が描かれています。
ギリシア人はいまも、自分たちこそがヨーロッパ文明を生み出した
のだという自負を強く持っています。
1981年にギリシアがEC(現在のEU)に参入したとき、ヨー
ロッパ諸国も自分たちの母なる国がやっとヨーロッパに復帰した、とばかりに大喜び。他のどの国が加盟したときよりも大歓迎したそうです。
確かに古代ギリシア・ローマ文明がなければその後のヨーロッパに文明はなかったかもしれません。しかしだからといって借金を踏み倒していいわけではなーい。

さて他のコインも見てみましょう。フクロウ柄の1ユーロは古代ギリシア時代のテトラ(4)ドラクマコインのデザインをそのまま使っています。フクロウはアテネの守護神である女神アテナと関わりが深く、また知恵や賢者の象徴でもあります。

フクロウの下の銅貨は1レプタ(100レプタ=1ユーロ)。図柄は古代ギリシアで活躍した軍艦「三段櫂船」です。その他のレプタ貨幣もいろんな時代の船が描かれています。アテネは古代から海軍&海運の国ですからね。

エウロペの下の2ユーロは、実は記念硬貨。ユーロ諸国は2ユーロコインの形で記念硬貨を発行することが許されています。流通枚数が少ないものは、ヨーロッパのコレクターの間で高値で取引されるようです。

これは2013年にギリシアが発行した「アカデメイア開設2400周年記念コイン」。つまりこの人物はプラトンでございます。アカデメイアは紀元前387年にプラトンが開いた学校。英語のアカデミーの語源ですね。

記念コインつながりで、最後に右端のコインをごらんください。これはイタリアが2005年に発行した「欧州憲法署名1周年記念コイン」。
・・・気付きました?
最初に見たエウロペと牡牛が再び登場しています。エウロペの手に
はペンと憲法

やっぱりヨーロッパの原点は神話の国ギリシアにあるんですね。