ボルドー展に酔う

国立西洋美術館で開催中の「ボルドー展~美と陶酔の都~」に行ってきました。
HP:http://www.tbs.co.jp/bordeaux2015/tokyo/

ボルドーと言えば赤ワイン!NO WINE, NO LIFE!
な私ですが、一番好きなのはブルゴーニュピノノワールです。
ま、ま、それはさておき。ミュージアムショップではやはりボルドーワインが売られていました。展覧会オリジナルエチケットのハーフワインもちょっと気になった・・・。
会場内にも、5大シャトーのエチケットなど、ワイン関連の展示が
あります。(ワイン好きの方には、秋に科博でやるワイン展もおすすめ♪)

フランス南西部のボルドーアキテーヌ地方。・・・とくれば受験生にはおなじみ、英仏百年戦争(1339~1453)のきっかけの1つですね。
フランス国王ルイ7世と離婚したアキテーヌ公女アリエノール(エ
レアノール)が、父親から受け継いだ広大な領土(現在のフランス国土の約半分)を所有したままイギリス国王ヘンリー2世に嫁いだところから両国の確執は深まり、まあ他にも色々あってついに戦争にまで発展してしまうのでありました。

ちなみにアリエノールは、十字軍で活躍したあのリチャード獅子心王やその弟でマグナ・カルタを承認させられたジョン欠地王の母親でございます。

ガロンヌ河のほとりに月の形に発展した、世界遺産都市「月の港ボルドー」。その歴史を先史から順を追って紹介するのがこの展覧会です。
ちなみにラスコーの洞窟壁画で知られるヴェゼール渓谷もアキテー
ヌにあります。原始的な女神のレリーフ、石器、金属細工に始まり、ローマ時代の遺物が登場。そして彫刻、書物、絵画、陶器、工芸品、家具などなんでもあり。

私が注目したのはボルドーが輩出した「3M」に関するもの。3Mとはモンテーニュモンテスキュー、モーリヤックのこと。
モンテーニュ肖像画竹中直人にしか見えませんでしたが、彼自身の書き込みのある『エセー(随想録)』と、モンテスキュー
が『法の精神』のために書いた自筆メモは貴重。
そしてもっと面白いのは、モンテーニュが所持していた法律書モンテスキューが入
手しており、その法律書には前者の所蔵印と後者の自筆サインが見受けられました。

絵画で気に入ったのは2点。いずれも物語の絵。
1つはドラクロワの師ゲランの「フェードルとイポリット」。ラシーヌの悲劇でも知られるギリシア神話の一場面。アテネの王である夫の留守中に、義理の息子(前妻の子)イポリッ
トを誘惑した妃フェードル。そこへ思いがけず夫が帰宅。すると乳母が「イポリットの方が自分を手ごめにしようとした、と言いなさい」と耳打ち。
その瞬間のフェードルの顔!!目を見開いてショックを受けている
表情がなんともいえず印象的!ちなみにイポリットは殺され、フェードルは自殺をとげました。

もうひとつは巨匠ルーベンスの「聖ユストゥスの奇跡」↓。
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キリスト教が弾圧されていたローマ時代。ローマ兵に剣で首を切り落とされ倒れた9歳(に見えない)のユストゥス。しかし叔父と父が見ている前で、むくっと起き上がり、自分の首を拾うと、体を燃やして首をどこだか(忘れた)に奉納してほしいと語った、というもの。
自分の首を持って歩いた聖ドニを思い出すお話でした。

最後に展示されたドラクロワの大作「ライオン狩り」が今回の目玉。残念ながら上部3分の1は焼失しています。が、ルドンによる模写が残っており、全体の雰囲気を知ることができます。
この展覧会は来年1月末から福岡市博物館に巡回します。

では最後に今後の注目展覧会です。
◇「クレオパトラとエジプトの王妃展」東京国立博物館で開催中~9月23日。その後大阪に巡回。これは行っておかないと。

◇「画鬼 暁斎三菱一号館美術館にて開催中~9月6日。河鍋暁斎!師匠の歌川国芳ともども大好きです☆
これが終わると同館で「プラド美術館展」(10月10日~)が始
まります。

◇「うらめしや~、冥途のみやげ展」東京芸大美術館にて開催中~9月13日。幽霊かけじくのオンパレード。楽しみ♪

◇「THE ART of BVLGARI 130年にわたるイタリアの美の至宝」東京国立博物館にて9月8日~11月29日。

◇「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」Bunkamuraザ・ミュージアムにて9月9日~12月7日。

◇「モネ展」東京都美術館にて9月19日~12月13日。“印象派”という言葉の起源となった『印象・日の出』は前期のみ(10月18日まで)の展示。ご注意を。