アウシュヴィッツ3・犠牲者の遺品

ある日突然、ゲシュタポが玄関の扉を乱暴にたたく。
このゲットーは閉鎖する、お前たちを移送する、さっさと荷物をまとめろ。
どこへ行くのかも知らされぬまま、旅行カバンに全財産をつめこむ。
現金、宝石、先祖伝来のメノラ―(ユダヤ教の儀式につかう燭台)、家族の写真。
着替え、食器、歯ブラシ、靴墨、パパが買ってくれたお人形。
ダメだダメだ、ペットは置いていけ、早くしろ、外に出ろ。

トラックに乗せられ、たどりついたのは鉄道の駅。
荷物は後で送るからカバンに名前を書け。カバンをホームに置いたら列車に乗るんだ。
窓もない家畜用の貨車。暗闇の中、立ちっぱなしでぎゅうぎゅうづめ。
飲まず食わずで何時間、いや何日間もの移動のすえ、ようやく列車が止まる。
脱水症状で死んだ人々を踏み越えてやっと外へ。
男はこっち、女はあっちだ、整列しろ。
家族、夫婦もばらばらに。
そして始まる死の選別。
お前は右、お前は左。
たった1本、指を動かすだけで、労働要員となるか、ガス室行きかが決定される。


ビルケナウに今も残る、実際に使用された貨車↓
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アウシュビッツにて。犠牲者の遺品の数々。

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旅行カバン

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日用品

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ブラシ類

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義肢

他にも、衣類、メガネなどの山がありました。
もっとも絶望的な気分になるのはやはり、刈り取られた髪の毛の山です。
しかし写真撮影は禁止でした。