ハモン・デ・狂想曲 その2

ハムちゃん日記の2回目です。
(ハムスターではありません。)
 
1メートルはある巨大ダンボールに
入ってやってきた生ハムちゃんですが、
嬉しがってすぐに取り出してはいけません!!
 
その日はダンボールのフタを開けるだけ。
クール便で届いた生ハム原木(9.3キロ)を
ここから3日かけて、ゆっくり常温に戻します。
 
次の日はダンボールから出して、また放置。
さらに次の日は、最初に刃を入れる部屋に移動させて、
またまた放置。
 
到着から丸3日が経ち、ようやくビニールの袋から
取り出します。

全体が黄ばんだ油で覆われていてベトベトしています。
これはマンテカ油。
イベリコ豚の脂とオリーヴオイルを混ぜて作られ、
生ハムを乾燥や虫から守ってくれるものです。
 
ここで生ハム全体を
キレイなオリーブオイルで磨きます。
酸化した表面の油や不純物をぬぐうのですが、
マンテカ油はなるべく取り去らないようにします。
そうして、ハモネロ(生ハム専用台)に設置。
 
普通はブタさんの蹄が上になるように固定しますが、
レストランやパーティーなど短期間で減る場合は、
蹄を下にすることもあります。
 
家庭では蹄を上にして赤身が多い方(バビージャ)
から食べはじめ、徐々に
脂の多い部位(マサ)へと進んでいきます。

生ハムは時間が経つと、全体的に乾燥して
固くなりがちなので、脂の多い方を後にすると
最後までおいしく食べられるというわけ。
 
さあて、設置完了♪
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(大きさの比較のために、マイルドセブンならぬ
わたくしの古いガラ系携帯を置いております。)
 
で、これから食べるのかというと・・・
この状態でまた24時間放置!!
カッティングする場の空気になじませるのです。
 
すでに辺りはすざまじい匂い。
でも食べちゃダメ!!
ふえーん、おあずけくらったイヌの気分。
 
実は、生ハムは“活きて”います。
乳酸発酵しているのです。
配送のためにパックされていた息苦しさから
解放されたかのように、ぶわっと数日分の匂いが
発散されます。
 
3日かけて常温に戻すのは、
乳酸菌の活動をゆっくり活性化してやるためです。
発酵・熟成された(されつつある)保存食
であるがゆえに、その賞味期限は約半年。
しかも常温保存で!!
冷蔵庫に入れてはいけません!(っつーか、入らん!)
 
※ここでは、骨付き原木の話をしています。
スーパーで買った、スライスされた真空パック
冷蔵庫に入れてください!

同じように生ハムの原木を買った日本人の中には、
1年以上かかってやっと食べ終わった人
いるようですが、最後まで何の問題もなかったそうです。
40度近い夏の暑さにも耐えられますが、
日本の場合、梅雨時のカビに要注意。
(もしカビが生えても、そこだけ削れば大丈夫。)
 
今回は、梅雨までに食べきるつもりで
この時期に取り寄せました。
これからクリスマス、お正月があり、
また我が家のアニバーサリーも続くので。
 
ちなみに、スペイン人は4人家族で
だいたい1ヶ月半で食べきるそうです。
 
さて、とりあえず台所に常設展示(笑)。
冷蔵庫とトースターに挟まれてます。
(トースターは軽いので、使うときに移動させます。)
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保存場所は、温度変化が少なく、
空気が動くところがよいそうです。
翌朝(4日目)、いよいよカッティングに入ります♪