バッカスに捧ぐ10 女児紅

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中国のお酒、紹興酒の一種です。
私は氷砂糖を入れたお湯割りの紹興酒が好きです。
というわけで、水曜に引越しした中国デーです。
 
この「女児紅」(ニュアルホン/にょじこう/じょじこう)
は、女の子が生まれたときに紹興酒を作って熟成させておき、
その子の結婚式のときにみんなで飲むという、
浙江省の習慣から名づけられたものです。
 
「女児紅」の起源について、こんな話があります。
むかーしむかし、紹興に住んでいたある男が、
妻が出産間近になったので、息子が生まれたら
祝いに飲もうと甕に入った紹興酒を買いました。
 
しかし、生まれたのは女の子。
後継ぎでないことにがっかりした男は、酒を飲む気が
うせたので、甕を開けることなくそのまま、
庭のキンモクセイの木の下に埋めてしまいました。
 
やがて、18歳になった娘が嫁ぐ日がやってきました。
男は祝いに酒を用意しようとして、ふと
18年前に紹興酒の甕を庭に埋めたことを思いだしました。
それを掘り起こして味見してみると、熟成が進んで
濃い色と深い味わいのすばらしい酒になっていました。
そこで男はその酒を娘に持たせることにしたのでした。
 
私が台湾で買ったこの「女児紅」は、
陶器に入っていて16年熟成物。
箱入りで普通の紹興酒よりはちょっとお高め。
でも、それだけの価値はありました。おいしい♪
 
古代の「爵(しゃく)」をかたどった陶器の杯が二脚ついています。
爵は3000年ほど前に使われた青銅の酒器で、
伯爵などの爵位の語源にもなっています。
(実はこの「爵」が欲しかった。)
 
↓古代の爵(3本足で、取っ手が1つ。右手で持って左の口から飲む)
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さて、甕を埋める習慣はやがて、男の子が生まれたときにも
行われるようになりました。その場合は
「状元紅」(じょうげんこう)と言い、この名がついた紹興酒もあります。
「女児紅」と並べて売られていることも。
 
男の子はお嫁に行きませんから、一体いつ、
甕を掘り出すのかというと、その子が
「状元」になったときに祝いとして開けるのです。
「状元」とは中国の官吏登用制度である“科挙”の
最終試験に、最も優秀な成績で合格した受験生を指す言葉です。
 
おりしも受験シーズン。
来週の中国デーではこの、中国の受験地獄「科挙
についてお話しますね。
 
P.S. 昨日、東京国立博物館にて「王羲之展」が開幕しました!
私も近々行きます♪
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