さるご婦人のお話

11世紀、イギリスのコヴェントリーという村でのお話。
当時、そこの領主であったレオフリック伯爵は、
領地に住む農民たちに重税を課していました。
 
あるとき、伯爵夫人が言いました。
もう少し、年貢を安くしてあげては・・・?
 
すると伯爵は言いました。
お前が一糸まとわぬ姿で農村を一周したら、
年貢の軽減を考えてやろう。
 
夫のその言葉を真に受けた夫人は、決心しました。
そして村にお触れが出されました。
来る何日、伯爵夫人が農民のために裸で村を回られる。
農民の諸君はその日、窓の木戸を閉め、家に閉じこもり、
決してご夫人の裸を見る事がなきよう。
 
農民たちは、自分たちを救うためにあえて
恥をさらしてくださる伯爵夫人のことを思い、おふれに従いました。
 
素っ裸の伯爵夫人は、長い髪で裸を必死に隠しつつ、
馬の背に揺られながら、村を一周しました。
彼女の名は、ゴダイヴァ夫人 Lady Godiva
 
そして彼女の自己犠牲の精神に敬意を表して
その名を社名としたのが、ベルギーの高級チョコレート店
ゴディバ」です。
今度、デパ地下でゴディバを見かけたら、そのマークを
よく見て下さい。馬上の裸の女性が、長い髪で体を隠しています。

実はこの話、もう一つの英語を生み出しました。
お触れを守らず、こっそり夫人の裸をのぞき見た不届き者が
いたのです。その男の名はトム。
それ以来、のぞき魔のことを英語でピーピング・トムPeeping Tom
と言うようになりました。
人名が元になっているという点で、日本語の「出歯亀」と同じです。

ゴディバ夫人の話は、バレンタインの時期に必ず
仕事で話すネタなのですが、なぜバレンタインでもないのに
こんな話をしているかというと・・・。
もうお気づきかと思いますが、わたくし夏休みに「ゴディバ」の
本店があるベルギーに行くことになりました!!
いま頭の中がベルギーでいっぱいです。
現地滞在6日間で4都市を鉄道でめぐる予定。
効率的にまわるため、これから必死で日程表を作ります(汗)。
 
しかしながら!
7月末になって上司から、「再来年から始まる新規開設講座の
コンテンツを考えろ」とのお達しが・・・。
おかげで夏休みなのに仕事が山積・・・。
 
猛暑の夏は、クーラーの効いた部屋にこもって
ベルギーの予習とおしごとです・・・。